著作権法について
こんにちは。
企画製版課のK.Oです。
最近は、10月中旬で気温30℃を記録する日もあり、秋らしからぬ気候で体調も安定しない方も多いとおもいます。
今日に入って、急に寒くなりましたので、皆さま暖かい服装を準備しなければならないタイミングだと思います。体調を崩されないよう気をつけてくださいね。
さて、今日は我々印刷業などの情報発信の業態としては切っても切り離せない「著作権」というテーマで記事を書きたいと思います。
著作権法(知的財産権の一つ)などが代表的ですが、「権利」を守るための法律です。
意外と知らない著作権に迫る!
さて、この著作権法は特に印刷業界でもよく話題に挙がります。
著作権関連は、正しい知識を身につけていないとトラブルに発展しやすい分野でもあります。少しでもトラブルや悲しい思いをする人を減らすために、今回はこの「著作権」をテーマに書きたいと思います。
① 著作物について
著作権は、文化庁のWebサイトにて以下のように書かれています。
著作物について
(1)「思想又は感情」を表現したものであること
→ 単なるデータが除かれます。
(2)思想又は感情を「表現したもの」であること
→ アイデア等が除かれます。
(3)思想又は感情を「創作的」に表現したものであること
→ 他人の作品の単なる模倣が除かれます。
(4)「文芸,学術,美術又は音楽の範囲」に属するものであること
→ 工業製品等が除かれます。
具体的には,小説,音楽,美術,映画,コンピュータプログラム等が,著作権法上,著作物の例示として挙げられています。その他,編集物で素材の選択又は配列によって創作性を有するものは,編集著作物として保護されます。新聞,雑誌,百科事典等がこれに該当します。
文化庁 著作物について より
2021年10月14日 現在
https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/gaiyo/chosakubutsu.html
「(4)→工業製品等が除かれます。」とありますので、これはあくまでも著作権保有者に許諾を取った状態が前提ですね。
印刷会社やデザイン部門として見逃せないのが、上記の“編集著作物”です。
他人のデザインを総合的に参考にするのなら自由ですが、使用する素材、配色、レイアウトなどあまりにも「酷似」し過ぎるレベルは黄色信号だと感じます。あくまでも参考程度に抑え、自身のオリジナル性を意識しましょう。
フリー素材の利用について
フリー素材などを使用する場合は、サイト内に利用規約等が書いてあるはずですので、左記に基づいた利用の範囲を遵守しましょう。
フリー素材(有料と無料が有)は、印刷物やWebなどのデザインに大衆が使用する事を想定してある場合が大半です。
配布サイト内や配布者又は団体等の発行する規約内容にもよりますが、他人の作ったフリー素材そのものを別サイトや媒体等を通して、再配布(有料無料不問)したり、少し修正を加えて再配布するなどの行為は、まず間違いなくNGのケースが多いです。
現実的に考えたら、当たり前のことですよね。
様々な方面から著作物は「権利」として護られているのですね。
② 他サイトや文献等の文章を紹介したい場合
結論、著作物を使用する場合は、著作者や著作権の帰属先等に使用目的などを伝え許諾さえ取れば問題は無いのですが、簡易的な「引用」などは、正当な範囲内の使用であれば許諾が利用できると著作権法第32条に書かれています。
引用(第32条)
[1]公正な慣行に合致すること,引用の目的上,正当な範囲内で行われることを条件とし,自分の著作物に他人の著作物を引用して利用することができる。同様の目的であれば,翻訳もできる。(注5)
[2]国等が行政のPRのために発行した資料等は,説明の材料として新聞,雑誌等に転載することができる。ただし,転載を禁ずる旨の表示がされている場合はこの例外規定は適用されない。(注5)引用における注意事項
文化庁 著作物が自由に使える場合 より
他人の著作物を自分の著作物の中に取り込む場合,すなわち引用を行う場合,一般的には,以下の事項に注意しなければなりません。
(1)他人の著作物を引用する必然性があること。
(2)かぎ括弧をつけるなど,自分の著作物と引用部分とが区別されていること。
(3)自分の著作物と引用する著作物との主従関係が明確であること(自分の著作物が主体)。
(4)出所の明示がなされていること。(第48条)
(参照:最判昭和55年3月28日 「パロディー事件」)
2021年10月14日 現在
https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/gaiyo/chosakubutsu_jiyu.html
ご覧の様に、この記事もまさに、数カ所に「引用」を使用しています。
これだけたくさんの情報が溢れる時代に、「どこの誰が発信した情報なのか?」が分からない程不安な事はありませんよね?
やはり、出所が明確だと記事の信頼性がアップできますし、自身の文章にも取り入れたいものですよね。
ただし、他人の著作物を使用させていただくわけですから、せめて上記の様に明確な区別は必要です。それには上記のことを遵守しなければなりません。
③ 著作者の権利の発生及び保護期間
実は、著作権は永久に有効ではありません。
保護期間というのがあります。
著作権,著作者人格権,著作隣接権は,著作物を創作した時点で発生します。権利を得るための手続は,一切必要ありません
(「著作権の登録制度について」参照)。
著作権の保護期間は,原則として著作者の生存年間及びその死後70年間です。
※ 例外
著作物の種類 | 保護期間 |
無名・変名(周知の変名は除く)の著作物 | 公表後70年(死後70年経過が明らかであれば,その時点まで) |
団体名義の著作物 | 公表後70年(創作後70年以内に公表されなかったときは,創作後70年) |
映画の著作物 | 公表後70年(創作後70年以内に公表されなかったときは,創作後70年) |
*このほか,外国人の著作物の保護期間については,若干の特例が設けられています。
文化庁 著作者の権利の発生及び保護期間について より
2021年10月14日 現在
https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/gaiyo/hogokikan.html
上記のことから過去の作曲家のベートーヴェンやモーツァルトは死後70年以上が経過しているため、彼らの著作権保護期間は終了しているという事になります。
しかし、多くの場合、作家自身が持つ著作権(著作者人格権を除く。)を信託譲渡している場合が多いです。作家本人の保護期間は作家の死後70年で終了しますが、管理団体は現在もその権利を有しています。
これにより、現在でも管理団体は演奏権を行使でき、許諾の対価として使用料を徴収することも可能となっています。
著作権保護期間延長の経緯
法律で様々なことが定義されていますが、実は少し前まで、保護期間は「死後50年」とされており「死後70年」に引き上げられているのです。経緯は環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(TPP11)の締結に伴い、2018年12月に著作権法の改正が施行されました。
その結果、映画以外の著作物・実演・レコードで著作権保護期間が50年から70年に改正されました。
以上 参考:文化庁 著作物等の保護期間の延長に関するQ&A より
https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/hokaisei/kantaiheiyo_chosakuken/1411890.html
この様に日々、最新の法律をチェックしていかないと、昔の法律を参照してしまう恐れもあるので、随時この分野はしっかりアンテナを張っていないといけませんね!
まとめ
決められた法律をみんなが遵守し、過ごしやすい社会を作っていきましょうね!
それでは、また来週!